【この記事の結論】
・派遣社員も条件を満たせば雇用形態に関わらず派遣元を通じて厚生年金に加入し保険料は折半されます。
・週20時間以上かつ2カ月を超える雇用見込みなどの条件を満たすと短時間労働者も加入対象です。
・2026年10月には月額8.8万円の賃金要件が撤廃され短時間労働者の加入条件がさらに緩和されます。
・厚生年金の加入により将来の老齢年金が増えるほか障害厚生年金や遺族厚生年金の保障も受けられます。
・契約終了後に次の派遣先が決まらない場合は原則14日以内に国民年金等への切り替え手続きが必要です。
派遣で働き始めて最初の給与明細を受け取ったとき、思ったより手取りが少ないと感じた方もいるでしょう。その差し引かれている項目のひとつが、厚生年金保険料です。
「派遣社員でも厚生年金に入れるのだろうか」「加入するのは派遣元と派遣先のどちらなのか」と疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
とくに契約更新や派遣先の変更が近づくと、勤務時間が変わったら加入はどうなるのか、扶養の範囲で働きたいのに引かれてしまわないか、と迷う場面も少なくありません。手取りが減るくらいなら加入を断りたい、と感じている方も多いはずです。
本記事では、日本年金機構や厚生労働省が公開する情報をもとに、派遣社員の厚生年金の加入条件から、2026年10月に予定されている改正の内容、保険料の決まり方、将来受け取れる年金額と障害・遺族への保障、そして契約終了時に必要な手続きまでをわかりやすく解説します。
目次
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1.派遣社員も厚生年金に加入できる
この章では、派遣社員が厚生年金の対象になる理由と、加入先が派遣元の会社になる仕組み、国民年金との違いを整理し、制度の全体像をつかめるようにします。
条件を満たすと加入義務がある
厚生年金保険は適用事業所で働く70歳未満の人が対象で、条件を満たした派遣社員は雇用形態にかかわらず被保険者になります。正社員か派遣社員かで扱いが分かれるわけではなく、判断の軸になるのは所定労働時間や契約期間といった働き方の実態です。
手続きは事業所単位で事業主が行うため、本人が加入するかどうかを選ぶ余地はありません。契約書にある週の所定労働時間と契約期間を見れば、自分が対象になるかどうかの見当はつきます。
加入先は派遣元の会社
雇用契約を結んでいる相手は派遣元のため、加入対象となる派遣社員は派遣元の会社で厚生年金保険に加入し、保険料の納付も派遣元を通じて行われます。日々の指揮命令を受けるのが派遣先であっても、社会保険上の使用者は派遣元です。
派遣先が替わっても派遣元が同じであれば被保険者資格はそのまま続き、保険料は派遣元から支払われる給与から控除されます。問い合わせ窓口は派遣会社の担当部署になります。
国民年金との違い
公的年金は2階建ての仕組みで、1階にあたる基礎年金に2階部分の厚生年金が上乗せされます。派遣社員として厚生年金に加入している間は国民年金の第2号被保険者にあたるため、基礎年金の保険料を別に納める必要はありません。
負担の方法にも差があり、国民年金は定額を全額自己負担するのに対し、厚生年金は報酬に応じた額を派遣元と折半します。受け取る段階でも、基礎年金だけの人と報酬に比例した部分が上乗せされる人とでは水準が変わります。
2.派遣社員の厚生年金加入条件
この章では、一般社員の4分の3以上働く場合の原則と、週20時間以上の短時間労働者に適用される要件、2026年10月以降に予定されている見直しを順に確認します。
一般社員の4分の3以上働く
1週間の所定労働時間と1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同じような仕事をする通常の労働者の4分の3以上ある場合は、厚生年金の被保険者になります。平成28年10月から明確化された基準で、時間と日数の両方を満たすことが条件です。
週40時間・月20日勤務の一般社員が基準となる場合、週30時間かつ月15日以上が目安になります。所定労働時間が基準ぎりぎりの契約では、実際の残業時間ではなく契約上の所定労働時間で判断される点に注意しましょう。
週20時間以上働く
4分の3の基準に届かない働き方でも、週の所定労働時間が20時間以上ある場合は、短時間労働者として加入対象に入ります。
判断のもとになるのは契約上の所定労働時間で、臨時に発生した残業は含めないため、週18時間の契約で毎週2時間の残業があっても、原則として20時間には達していない扱いです。
ただし、実際の労働時間が連続する2カ月で週20時間以上となり、その状態が続く見込みなら、3カ月目の初日に資格を取得します。契約更新で時間数が変わるときは、派遣元へ加入の有無を確かめておくと加入漏れを防げます。
2カ月を超える雇用が見込まれる
雇用期間が2カ月以内で更新の予定もない場合は適用除外となり、2カ月を超える雇用が見込まれる時点で被保険者になります。2カ月以内の期間を定めて使用される人でも、当初から2カ月を超える見込みがあるときは、雇用開始日から被保険者として扱われます。
派遣では3カ月契約を更新していく形もあり、初回契約が2カ月でも更新の見込みが明らかなら初日から加入するため、契約書の期間欄と更新の有無の記載を照らし合わせておきましょう。
月額賃金が8.8万円以上
短時間労働者として加入するには、所定内賃金が月額8.8万円以上であることが要件です(2026年7月28日時点)。判定に使うのは基本給と諸手当で、残業代、賞与、通勤手当、深夜や休日労働に対する割増賃金は含めません。
時給1,300円で週20時間働いた場合、月の所定内賃金はおよそ11万円となり、この要件を満たします。なおこの賃金要件は2026年10月に撤廃される予定のため、最新の取り扱いは日本年金機構で確かめておくと確実です。
原則として学生ではない
昼間部に在学する学生は短時間労働者としての加入対象から外れますが、学生がすべて除外されるわけではなく、夜間、通信制、定時制の課程に在学する人は対象に含まれます。休学中の人や、卒業前に就職して卒業後も同じ勤務を続ける人も同じ扱いです。
学生であっても4分の3の基準を満たす働き方をしている場合は、この除外規定と関係なく被保険者になります。長期休暇中に勤務時間を増やすときは、契約上の所定労働時間が変わるかどうかが判断の分かれ目です。
派遣元の従業員数が原則51人以上
短時間労働者が加入対象になるのは、厚生年金保険の被保険者総数が51人以上の企業、いわゆる特定適用事業所で働く場合です。人数を数える単位は派遣先ではなく雇用主である派遣元で、同一の法人番号を持つすべての適用事業所の被保険者数を合算します。
特定適用事業所にあたるのは、12カ月のうち6カ月以上、被保険者数が51人以上となることが見込まれる企業等です。
大手派遣会社の多くはこの規模を超えており、小規模な派遣元でも、労使の合意にもとづく任意特定適用事業所の申出があった場合は対象になります。
2026年10月以降の加入条件
2025年6月に公布された年金制度改正法により、短時間労働者の加入要件は段階的に緩和されます。月額8.8万円という賃金要件は2026年10月に撤廃される予定で、その後は企業規模要件が10年ほどかけて縮小されます。
見直しの予定は次の通りです。
時期 | 予定されている見直し内容 |
|---|---|
2026年10月 | 賃金要件(所定内賃金 月額8.8万円以上)を撤廃 |
2027年10月 | 企業規模要件を厚生年金の被保険者数36人以上に縮小 |
2029年10月 | 企業規模要件を21人以上に縮小 |
2032年10月 | 企業規模要件を11人以上に縮小 |
2035年10月 | 企業規模要件を撤廃 |
(参照:https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html)
週20時間以上働く派遣社員は、いずれ派遣元の規模にかかわらず加入対象になる方向です。扶養内を意識して働いている方は、改正の時期を踏まえて働き方を見直しておきましょう。
3.厚生年金の加入時期と手続き
この章では、加入が始まるタイミング、途中から対象になる場合の扱い、派遣元が行う届出の流れ、通知書で加入日を確かめる方法を順にまとめます。
入社時から条件を満たす場合
契約開始の時点で加入条件を満たしている場合、就業初日が資格取得日となり、その月から保険料が発生します。保険料は日割りされず月単位で計算されるため、月の途中から働き始めても、その月分は満額の負担です。
10月20日就業開始なら、10月分から控除の対象になります。初月の負担感は開始日によって変わりますが、加入期間としては1カ月分がきちんと記録に残ります。
契約開始日と給与の締め日がずれる場合は、最初の控除がどの給与から始まるかを派遣元に確かめておくと戸惑いません。
働き方が変わり途中から加入する場合
契約更新で勤務時間が増えたり、加入条件を満たす働き方に変わったりしたときは、その変更が適用される日から被保険者になります。判断のもとになるのは変更後の契約内容で、結果として労働時間が増えた月とは切り離して考えます。
週18時間から週25時間へ変更する契約を11月1日付で結んだ場合、資格取得日は11月1日です。逆に勤務時間が減って条件を下回ると資格を失い、国民年金や扶養の手続きが必要になります。
更新の打ち合わせで社会保険の扱いも一緒に確認しておくと、切り替え漏れを防げます。
派遣元が加入手続きを行う
雇用主である派遣元は、被保険者資格取得届を雇用日から5日以内に日本年金機構へ提出します。本人が年金事務所へ行く必要はなく、基礎年金番号やマイナンバーを派遣元へ伝えると手続きが進みます。
基礎年金番号がない場合は届出により付番され、基礎年金番号通知書が交付されます。標準報酬月額は支給実績がないため、労働契約をもとに資格取得時決定として届け出られます。
資格情報の交付が遅れないよう、必要書類は早めに提出しましょう。
資格取得通知で加入日を確認する
加入手続きが済むと派遣元へ通知書が届き、資格取得年月日と決定された標準報酬月額を確認できます。記載内容は将来の年金額の計算に直結するため、派遣元から内容の通知を受けたら控えを保管しておきましょう。
通知書そのものが交付されない場合でも、ねんきんネットに登録すると自分の加入記録をオンラインで照会でき、加入月や標準報酬月額の履歴を一覧で見られます。
利用にはマイナポータルとの連携かユーザIDの取得が必要で、記録に抜けや誤りを見つけたときは派遣元か年金事務所へ早めに申し出ましょう。
4.派遣社員の厚生年金保険料
この章では、保険料の計算に使う標準報酬月額の考え方、18.3%という料率、労使折半の仕組み、給与明細での確認方法と、負担が重く感じられる背景を扱います。
標準報酬月額と賞与で決まる
保険料の計算のもとになるのは実際の給与そのものではなく、報酬を区切りのよい等級に当てはめた標準報酬月額です。
厚生年金では1等級の8万8千円〜32等級の65万円までの32等級に分かれ、賞与は同じ月に支給された額を合算し、1カ月あたり150万円を上限とする標準賞与額を使います。
等級は就業開始時に契約内容から決まり、毎年4月から6月の報酬をもとにした定時決定で9月に見直されます。報酬が大きく変わったときは随時改定も行われるため、派遣先の変更で時給が上がった場合は等級が動くことがあります。
保険料率は18.3%
厚生年金保険の料率は18.3%で固定されており、2017年9月の引き上げを最後に変更されていません。業種や勤務先、加入者の年齢によって差が出ることはなく、派遣でも正社員でも同じ率を使います。
標準報酬月額が22万円なら、月額の保険料は22万円×18.3%で40,260円です。
健康保険料や介護保険料は都道府県や保険者ごとに率が異なるので、給与明細の控除額全体を見て「厚生年金だけが高い」と受け取らないようにしましょう。
派遣元と本人で折半する
計算された保険料は派遣元と本人が半分ずつ負担する仕組みで、給与から引かれるのは全体の半額です。
標準報酬月額22万円の例では、総額40,260円のうち本人負担は20,130円となり、残りの半額を派遣元が負担してまとめて日本年金機構へ納付します。国民年金は定額の保険料を全額自己負担するため、同じ社会保険料でも負担の構造が大きく異なります。
産前産後休業や育児休業等の期間は申出により本人分と事業主分の双方が免除され、その期間も保険料を納めた期間として年金額に反映されます。
給与明細で控除額を確認する
控除欄の「厚生年金保険料」の額と、標準報酬月額に18.3%を掛けて2で割った額を保険料額表と照合すると、正しく計算されているかを確かめられます。
明細で見ておきたい項目は次の通りです。
厚生年金保険料の控除額が該当する標準報酬月額の本人負担額と合っているか
健康保険料や介護保険料と混同していないか
賞与のある月に標準賞与額からの控除が入っているか
就業開始月や退職月の控除が月単位になっているか
金額が想定と合わない場合は、標準報酬月額の等級が思っていたものと違う可能性があります。端数処理や、前月分を当月給与から控除する運用の影響も考えられるため、派遣元の担当者へ等級の根拠を尋ねると、決定の経緯まで確認できます。
保険料が高く感じる理由
手取りが減る実感が強くなるのは、健康保険料や雇用保険料、所得税や住民税が同じ月にまとめて引かれることが大きく影響しています。
厚生年金だけを見れば負担は報酬の9.15%ですが、社会保険料と税を合わせた控除全体は2割前後になることもあります。加えて加入初月は日割りされず1カ月分が引かれるため、働いた日数の割に控除が大きく見えます。
負担した分は将来の老齢厚生年金に反映され、障害や死亡といった万一の場面の保障にもなるので、短期的な手取りと保障の中身を並べて比べておきましょう。
5.将来もらえる年金額と保障
この章では、老齢厚生年金が上乗せされる仕組みと受給額の決まり方、派遣という働き方との関係、見込額の調べ方、障害や遺族への保障を取り上げます。
老齢厚生年金が上乗せされる
厚生年金に加入した期間があると、65歳から受け取る老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされます。前提になるのは受給資格期間が10年以上あることで、この10年には国民年金の納付済期間や免除期間も通算されます。
2026年度の老齢基礎年金の満額は月額70,608円(昭和31年4月2日以後生まれ)で、厚生年金の加入期間が長いほど、ここに加算される部分が厚くなります。
派遣で働いた期間も被保険者だった月はすべて記録に残るため、加入が短くてもその分は受給額に反映されます。
受給額は加入期間と報酬で決まる
老齢厚生年金の報酬比例部分は、平均標準報酬額に一定の乗率を掛け、さらに加入月数を掛けて計算します。
2003年4月以降の期間は平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数という式を使い、それ以前の期間は平均標準報酬月額に7.125/1000を掛ける別の式になります(乗率は生年月日により異なります)。
平均標準報酬額が22万円で10年、つまり120カ月加入した場合、報酬比例部分は概算で年約14万5千円です。報酬の水準と加入期間の長さが、そのまま受給額の差になります。
派遣社員という理由だけでは少なくならない
年金額の計算式に雇用形態の区分はなく、標準報酬月額と加入月数が同じなら受給額も同じです。差が生まれるとすれば、報酬の水準や、契約と契約の間に空白ができて加入月数が伸びにくいといった働き方の実態のほうです。
同じ月収で同じ年数働いた正社員と派遣社員であれば、報酬比例部分に違いは出ません。空白期間を短くする、時給の高い案件を選ぶ、契約の切れ目に国民年金の手続きを忘れないという積み重ねが、結果として受給額を守ります。
ねんきんネットで見込額を確認する
自分の加入記録と将来の年金見込額は、日本年金機構のねんきんネットに登録するといつでも確認できます。
利用登録の方法はマイナポータルとの連携か、ユーザIDを取得する方法の2つで、マイナンバーカードがあればマイナポータル経由の登録が手早く済みます。画面には月ごとの標準報酬月額や加入区分が並ぶので、派遣元が変わった時期に記録の抜けがないかを追えます。
働き方を変えた場合の見込額を試算する機能もあり、勤務時間を増やすか迷っているときの判断材料になります。
障害厚生年金と遺族厚生年金もある
厚生年金の保障は老後だけにとどまらず、病気やけがで障害が残ったときの障害厚生年金や、亡くなったときの遺族厚生年金も含まれます。障害厚生年金は、初診日に厚生年金の被保険者であり、障害認定日に1級から3級の状態にあることなどが要件です。
国民年金の障害基礎年金が1級と2級を対象とするのに対し、3級や障害手当金まで範囲が広がる点が大きな違いです。
遺族厚生年金は被保険者期間中の死亡などの場合に一定の遺族へ支給され、どちらも保険料の納付要件があるため、未納期間をつくらないことが保障を保つ条件になります。
6.厚生年金に加入したくない場合
この章では、加入を断れるのかという疑問への答えと、国民年金だけを選べない理由、扶養内で働きたい場合に確認すべき契約条件を整理します。
条件を満たすと加入を断れない
加入するかどうかを本人の希望で決められる仕組みではなく、条件を満たした時点で被保険者になります。手続きは事業所単位で事業主が行うもので、本人の意思による加入や脱退はできず、派遣元へ「加入したくない」と伝えても法律上は届出を省けません。
手取りを優先したい場合は、加入条件に届かない働き方へ契約自体を変更するのが現実的な方法です。ただし収入も同時に減るので、目先の手取りと将来の年金の両方を見比べて判断しましょう。
国民年金だけを選べない
厚生年金の被保険者になると国民年金の第2号被保険者として扱われ、国民年金だけに加入し続けることはできません。
基礎年金部分は厚生年金への加入を通じて自動的に確保される仕組みで、保険料を別に納める必要がない代わりに、第1号被保険者として単独で残る選択肢もありません。
厚生年金の保険料が国民年金の定額保険料より高く見えても、そこには基礎年金の分と報酬比例部分の両方が含まれています。半額を派遣元が負担している点も踏まえ、同じ保障を自分だけで積み上げる場合と比べてみましょう。
扶養内で働くなら契約条件を確認する
配偶者の扶養に入り続けたい場合は、契約書に書かれた週の所定労働時間と月額の所定内賃金を先に確かめておきましょう。
国民年金の第3号被保険者には20歳以上60歳未満で年収130万円未満などの要件がありますが、厚生年金の加入要件に当てはまる働き方をしている場合は第3号になりません。週20時間以上で所定内賃金が月額8.8万円以上であれば、130万円を下回っていても加入対象です。
2026年10月には賃金要件の撤廃が予定されており、扶養の考え方は今後変わるため、契約更新の前に派遣元へ試算を依頼しておきましょう。
7.派遣先変更・契約終了時の手続き
この章では、同じ派遣元で就業を続ける場合の扱い、次の派遣先まで期間が空くときの資格の考え方、退職後に必要な切り替え手続きを説明します。
同じ派遣元で働き続ける場合
雇用契約の相手が変わらなければ、派遣先が別の会社に替わっても厚生年金の被保険者資格はそのまま続きます。資格の取得や喪失の届出は雇用主である派遣元が行うため、派遣先の交代だけでは手続きが発生しません。
標準報酬月額については、新しい派遣先で時給や勤務時間が大きく変わると随時改定の対象になることがあります。就業先が変わるタイミングで契約内容を見直し、週の所定労働時間が加入条件を下回らないかを確かめておくと安心です。
次の派遣先まで期間が空く場合
契約終了後、おおむね1カ月以内に同じ派遣元で次の派遣就業が始まることが確実に見込まれるなど、一定の要件を満たすときは、使用関係が続いているものとして資格を喪失させない取扱いがあります。
厚生労働省が2002年に示した通知にもとづく運用で、短い待機のたびに国民年金へ切り替える手間を避ける狙いです。次の派遣就業が見込まれなくなった場合は、その時点で資格喪失の取扱いが必要になり、具体的な資格喪失日は個々の契約状況によって判断されます。
次の就業の見込みがはっきりしないときは、派遣元へ資格の扱いを早めに確認しておくと切り替えの判断がしやすくなります。
退職後は国民年金などへ切り替える
派遣元との雇用契約が終わって厚生年金の資格を失ったとき、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、原則として退職日の翌日から14日以内に国民年金第1号被保険者への手続きを行います。
届出先は住んでいる市区町村の窓口で、資格喪失日を証明できる書類を求められる場合もあります。配偶者の扶養に入る場合は第3号被保険者の届出となり、こちらは配偶者の勤務先を通じて手続きします。
切り替えを忘れると未納期間が生じ、老齢年金だけでなく障害年金や遺族年金の保険料納付要件にも響くため、納付が難しいときは免除や納付猶予を申請する方法もあります。
8.派遣社員の厚生年金に関するよくある質問
この章では、大手派遣会社を例に、実際の加入条件がどのように定められているかを取り上げ、自分の働き方に当てはめて考えるための材料を示します。
テンプスタッフで厚生年金に加入する条件は?
テンプスタッフでは、就業条件が社会保険の加入資格を満たす場合に、健康保険と厚生年金保険への加入手続きを行います。
対象になるのは、通常の労働者の4分の3以上働く場合、または週20時間以上、2カ月を超える雇用見込み、月額賃金88,000円以上、学生ではないという短時間労働者の要件を満たす場合です。
月額賃金が88,000円未満の場合や昼間学生の場合は、短時間労働者としては加入対象になりません。雇用保険は週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みという別の条件です。
条件の示し方は派遣会社ごとに異なるので、契約前に自分が加入対象かどうかを担当者へ確かめておくと確実です。
9.まとめ
派遣社員でも、働き方の条件を満たせば派遣元を通じて厚生年金に加入でき、保険料の半分は会社が負担します。目先の手取りは減っても、その分は老齢年金の上乗せや、万一のときの障害年金・遺族年金という形で自分と家族を守る備えになります。
まずは直近の給与明細と契約書で、勤務時間と月額賃金を確認してみてください。2026年10月には賃金要件の撤廃が予定されており、これまで対象外だった方も新たに加入となる可能性があります。
契約が終わったときの切り替え手続きも忘れないようにしましょう。
ねんきんネットで将来の見込額を確かめ、納得のいく働き方を選ぶ第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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