【この記事の結論】
・会社がマイナンバーを求めるのは税金や社会保険、雇用保険の法定手続きで記載が必要なためです。
・従業員に提出拒否の罰則はありませんが会社に記載義務があるため繰り返し提出を求められます。
・本人確認はマイナンバーカードなら一式で済み通知カードや住民票の場合は身元確認書類が必要です。
・画像やコピーで提出する際は番号と顔写真が鮮明に見えるように撮影し安全な指定方法で送信します。
・扶養控除や社会保険の対象となる家族の番号は必要ですが対象外の家族の提出は法律で不要です。
入社手続きの書類に「マイナンバーを記入し、本人確認書類のコピーを添えてください」と書かれていて、思わず手が止まった経験はないでしょうか。
正社員だけでなくアルバイトやパートでも同じように求められるため、「なぜ会社が12桁の番号を知る必要があるのか」「断ったらどうなるのか」と気になっている方も多いはずです。
しかも、提出先の部署や渡し方まで丁寧に説明されるケースは少なく、言われるまま出してよいものか迷ってしまいます。
本記事では、会社がマイナンバーの提出を求める法的な背景から、提出は義務なのかどうか、本人確認書類として使えるもの、コピーや画像データで提出する際の注意点、家族分が必要になる場面までを、国税庁や日本年金機構などの公的情報をもとにわかりやすく解説します。
目次
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1.会社にマイナンバーを提出する理由
この章では、会社がマイナンバーを必要とする税金、社会保険、雇用保険という三つの手続きについて、それぞれ何に使われるのかを整理します。
税金の手続きに使用する
税務署へ提出する源泉徴収票や支払調書には個人番号を記載する必要があるため、会社は給与を支払う相手の番号を集めています。
記載事項は所得税法などで定められており、給与所得の源泉徴収票も税務署提出用には番号欄がある一方、従業員へ交付する控えには番号を記載しません。年末調整で使う扶養控除等申告書も対象で、法定調書の提出期限は翌年1月31日です。
ただし、税務署へ提出する源泉徴収票は、一定の提出範囲に該当するものに限られます。
社会保険の手続きに使用する
健康保険と厚生年金保険の届出書には個人番号欄があり、入社時の資格取得届などに記入するため番号が使われます。日本年金機構への届出では、マイナンバーまたは基礎年金番号等を確認して資格取得届へ記入します。
事業主が届け出る際は、本人への利用目的の通知または公表と、番号法に沿った本人確認が必要です。資格取得届の提出期限は被保険者資格を取得した事実の発生から5日以内と短く、入社直後に提出を求められるのが一般的です。
雇用保険の手続きに使用する
雇用保険では、資格取得届や資格喪失届に加え、育児休業給付や介護休業給付の申請書にもマイナンバーの記載が必要です。
厚生労働省の取扱いでは、番号が未記載で「マイナンバー別途申請予定」などの表示もない届出は返戻され、事業主は雇用保険法と番号法に基づく届出義務を負います。
すでにハローワークへ番号を届け出た従業員は、欄外に「マイナンバー届出済」と記載して記入を省ける運用もあります。失業等給付や育児休業給付の受け取りに直結する情報です。
2.会社へのマイナンバー提出は義務か
この章では、提出を求められる対象者の範囲、応じなかった場合の罰則の有無、会社が繰り返し依頼してくる背景という三つの角度から整理します。
雇用形態にかかわらず対象
給与の支払いを受ける人であれば、正社員でもアルバイトでも短期勤務でも、会社は同じようにマイナンバーの提出を求めます。番号が必要かどうかは雇用形態ではなく、給与の支払いや社会保険の手続きが発生するかで決まります。
学生アルバイトや扶養内のパート、数日だけの短期勤務でも、給与支払報告書など番号を記載する手続きが生じ得ます。役員や、原稿料・講演料などを受け取る個人事業主も、支払調書の関係で提出を依頼される場合があります。
従業員に直接的な罰則はない
マイナンバーを提出しなかったこと自体を罰する規定はなく、従業員に過料や罰金が科されることはありません。
番号法が罰則を定めているのは、正当な理由のない特定個人情報ファイルの提供や、不正な利益を図る目的での提供・盗用といった行為で、提供しない側は対象外です。
一方で、会社の服務上の取扱いは就業規則や個別の事情にも関わるため、提出拒否だけを理由とする処分ができるかどうかを一律には判断できません。罰則がないことと、手続きが問題なく進むことは別の話です。
未提出でも再提出を求められる
書類への番号記載は会社側の義務として残るため、一度断っても提出の依頼は繰り返されます。個人情報保護委員会は、番号の提供を受けられない場合でも記載が法令上の義務であることを伝えて提供を求め、それでも応じてもらえないときは求めた経過を記録・保存
し、単なる義務違反ではないことを明確にしておくよう示しています。ただし、この経過の記録と保存自体は法令上の義務ではなく、望ましい対応という位置づけです。
3.提出に使える本人確認書類
この章では、マイナンバーカード、通知カード、番号記載の住民票、個人番号通知書の四つについて、番号確認と身元確認のどちらを満たせるのかを整理します。
カード1枚で本人確認できる
マイナンバーカードは番号確認と身元確認を1枚で兼ねるため、ほかに身分証を添える必要はありません。会社が行う本人確認は、記載された番号が正しいかを見る番号確認と、番号の持ち主本人かを見る身元確認の二段構えです。
カードは券面に番号と顔写真の双方を備えているため、手続きが最も簡潔に済みます。なお、カードの有効期間は発行日から10回目の誕生日まで(18歳未満は5回目)で、期限が切れたカードは本人確認に使えません。
更新した場合は、11回目(18歳未満は6回目)の誕生日までとなる例外があります。
通知カードには身元確認書類を添える
通知カードで確認できるのは番号だけなので、運転免許証などの身元確認書類と組み合わせて提出します。
2020年5月25日に廃止され再交付もできませんが、券面の氏名や住所などが住民票の記載と一致している場合は、番号を証明する書類として引き続き使えます。
添える身元確認書類は次の組み合わせです。
顔写真付きは1点(運転免許証、パスポート、在留カードなど)
顔写真なしは2点(公的医療保険の資格確認書、印鑑登録証明書など)
引っ越しや結婚で記載が古いままの場合は、住民票やカードでの提出に切り替えましょう。
番号記載の住民票にも身元確認が必要
マイナンバーカードも通知カードも手元にない場合は、個人番号入りの住民票の写しで番号を証明します。住民票は請求時に「個人番号の記載あり」を選ばないと番号欄が空欄で発行されるため、市区町村が定める方法で記載を指定してください。
これも番号確認のための書類にあたるので、運転免許証などの身元確認書類を別に添えます。番号入りの住民票は住民票記載事項証明書でも代用でき、発行手数料は自治体ごとに異なります。
個人番号通知書は確認に使えない
個人番号通知書は番号を知らせるためだけの書類で、番号を証明する書類にも本人確認書類にもなりません。2020年5月25日以降に新たにマイナンバーが付番された人へ番号を知らせるために送られるもので、通知カードとは位置づけが異なります。
紛失しても個人番号通知書そのものは再発行されないため、会社に出して差し戻された場合は、マイナンバーカードを申請するか、個人番号入りの住民票の写しを取得して提出しましょう。
4.コピー・写真で提出する方法
この章では、マイナンバーカードのコピーの取り方、スマートフォンで撮影した画像データの送り方、会社が用意したシステムを使う場合の流れを整理します。
カードの表裏をコピーする
番号は裏面、顔写真と氏名は表面に印刷されているため、マイナンバーカードは両面をコピーして提出します。片面だけでは番号確認か身元確認のどちらかが欠け、会社から再提出を求められます。
コピーは数字と文字が読み取れる濃さで取り、白紙を重ねると裏写りを防げます。提出したコピーは特定個人情報にあたり、本人確認の記録として保管できる一方、不要になった時点で速やかに廃棄する扱いです。
郵送するときは、封筒の外から番号が透けない状態にしておくと安心です。なお、コピーの保管は法令上の義務ではありません。
写真・画像データで提出する
スマートフォンで撮影した画像データでの提出も、券面の情報が鮮明に読み取れ、法令上の本人確認方法を満たす場合は利用できます。
国税庁は、対面によらない方法として本人確認書類の写しや画像データの送付を受ける方法を認めており、支店勤務や在宅勤務でも手続きを進められます。撮影時は番号12桁と氏名、生年月日、顔写真が欠けないよう全体を写し、反射やぼけがないかを確かめてください。
送信手段は会社の指定に従い、私用のチャットアプリは避け、送信後は端末に残った画像を削除しておきましょう。
会社指定のシステムで提出する
人事労務システムや給与クラウドの専用画面から、従業員自身が入力・アップロードする方式もあります。担当者を限定してアクセス記録を残せる仕組みは、番号法が求める安全管理措置に沿った運用に役立ち、紙のやり取りより経緯を追いやすい面があります。
案内メールのリンクから開くときは、送信元のドメインが自社や契約サービスのものかを確かめてから入力しましょう。入力後の表示方法や修正手順はシステムごとに違うため、訂正が必要なときは会社の案内を確認してください。
5.家族分を提出するケース
この章では、扶養控除の申告と社会保険の扶養手続きという二つの場面から、家族の番号が必要になる範囲と不要なケースの線引きを整理します。
扶養控除の申告で必要
扶養控除等申告書には控除対象となる配偶者や扶養親族の氏名と個人番号を記入する欄があり、家族分の番号が必要です。この申告書に記載する家族の本人確認は会社ではなく従業員本人が行うため、家族の免許証のコピーまで会社へ提出することはありません。
ただし、給与支払者が一定の申告書を基に作成した、従業員や扶養親族の氏名と番号などを記載した帳簿を備えている場合は、その申告書に番号を記載しなくてよい取扱いがあり、2年目以降は記入を省ける会社もあります。
社会保険の扶養手続きで必要
配偶者を国民年金第3号被保険者にする届出や健康保険の被扶養者異動届では、対象となる家族の個人番号を記入します。第3号被保険者関係届を事業主経由で出す場合は、税の申告書とは扱いが異なり、事業主が配偶者本人の番号確認と身元確認を行います。
そのため、配偶者のマイナンバーカードの写しなど、確認書類の提出を会社から求められることがあります。なお、確認を済ませた書類を届書に添えて日本年金機構へ送る必要はありません。
扶養対象外の家族分は不要
会社が行う税や社会保障の個人番号関係事務の対象にならない家族については、番号を渡す必要はなく、会社も収集や保管ができません。番号法では、法律で限定的に定められた事務を行う場合を除き、特定個人情報の収集・保管が禁じられています。
共働きで別々に扶養されていない配偶者や、独立して生計を立てる子どもは通常この対象外です。同居する家族でも扶養控除や被扶養者の対象でない場合は、求められた際に何の手続きで使うのかを確認しましょう。
6.提出前に確認すること
この章では、番号を渡す前に押さえたい利用目的と担当部署、会社が指定する提出経路、提出後の保管と廃棄のルールという三点を整理します。
利用目的と担当部署を確認する
会社は取得時に利用目的を本人へ通知または公表する義務を負うため、何に使う番号なのかは確認できます。入社書類の案内文や社内規程に「源泉徴収票作成事務」などと書かれているのが一般的です。
確認しておきたいのは次の点です。
どの手続きに使うのか
どの部署が受け取り、管理するのか
提出した書類の控えが返却されるのか
示された目的の範囲を超えて番号を使うことは番号法所定の例外を除いて認められていないため、社員名簿への番号記載など目的外の利用に気づいたときは担当部署へ確認しましょう。
会社指定の提出経路を確認する
提出方法は、社内メールへの添付、郵送、専用システムのうち会社が指定した経路を必ず確認します。経路がばらつくと、誰がいつ受け取ったのかを追えなくなり、紛失したときの対応も遅れます。
マイナンバーは、漏えいして不正に使われるおそれがあると認められる場合に本人の請求などで変更できる情報で、扱いには慎重さが必要です。上司や同僚を経由した受け渡し、共有フォルダへの置き場所指定、宛先が個人アドレスの依頼には注意しましょう。
提出前に「この方法で問題ないか」と一言確かめるだけでも、誤送信や紛失を避けられます。
保管・廃棄ルールを確認する
提出した番号を会社が無期限に持ち続けることはできず、個人番号関係事務を行う必要がなくなり、所管法令の保存期間も過ぎた時点で廃棄・削除する決まりです。
個人情報保護委員会は、この両方の条件を満たした場合、できるだけ速やかに廃棄または削除しなければならないとしています。削除や廃棄の記録を残すことも、安全管理措置として重要です。
本人確認のために受け取ったコピーも、必要な手続きを終えて不要になった段階で速やかに廃棄します。
7.会社へのマイナンバー提出に関するよくある質問
この章では、マイナンバーをいつまでに提出するのか、退職した後も会社が番号をいつまで保管するのかという、迷いやすい二つの疑問に答えます。
マイナンバーはいつまでに提出する?
従業員側の提出期限を法律が定めているわけではなく、会社の手続き期限から逆算した社内の締切に従うことになります。
目安となるのは、健康保険・厚生年金保険の資格取得届が事実発生から5日以内、雇用保険の資格取得届が資格取得日の属する月の翌月10日まで、税務署へ出す法定調書が翌年1月31日までという期限です。
入社直後に提出を求められるのも、このスケジュールが背景にあります。年の途中の入社でも、年末調整に間に合う時期までの提出を促されます。
退職後、会社はマイナンバーをいつまで保管する?
退職しても番号がすぐ消えるわけではなく、書類ごとに定められた保存期間が終わるまで会社が保管します。
主な保存期間は次の通りです。
書類の区分 | 保存期間 | 起算点 |
|---|---|---|
扶養控除等申告書など源泉徴収関係 | 7年 | 提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日 |
雇用保険の被保険者に関する書類 | 4年 | 完結の日 |
健康保険・厚生年金保険に関する書類 | 2年 | 完結の日 |
(参照:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm)
保存期間が過ぎ、事務の必要もなくなった時点で、番号は速やかに廃棄または削除されます。自動的に消える仕組みではないため、廃棄のタイミングは会社ごとに異なります。
ただし、法定保存期間を過ぎた書類を、番号法上の必要性なく保管し続けることはできません。退職後の取扱いが気になるときは、廃棄の目安を人事へ問い合わせておきましょう。
8.まとめ
本記事では、会社がマイナンバーの提出を求める理由から、提出義務の有無、使える本人確認書類、家族分が必要になる場面までを解説してきました。提出を求められたら、まず利用目的と担当部署、指定された経路を確かめておきましょう。
マイナンバーカードがあれば両面のコピーだけで手続きが済み、通知カードや番号入りの住民票で対応する場合は、運転免許証などの身元確認書類を添えてください。個人番号通知書は確認書類として使えない点にも注意が必要です。
判断に迷うときは、勤務先の規程や国税庁などの案内で確かめたうえで提出すれば、余計な不安を抱えずに手続きを終えられます。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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