【この記事の結論】
・派遣社員の年末調整は、実際に働く派遣先ではなく、給与を支払う雇用主の派遣会社がまとめて行います。
・年末調整を受けるには、扶養控除等申告書の提出と、年末時点で派遣会社に在籍していることが条件です。
・年の途中で派遣会社を変えた場合は、前の派遣会社の源泉徴収票を新しい派遣会社へ提出して手続きします。
・年末調整の還付金は税務署から直接振り込まれるのではなく、年末か翌年1月に派遣会社から支払われます。
・副業の所得が20万円を超える場合や医療費控除を受けたい場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
派遣社員として働いていると、年末が近づくたびに「自分も年末調整を受けられるのか」「手続きをするのは派遣会社と派遣先のどちらなのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。
なかには、自分で確定申告まで必要になるのではと、漠然とした不安を抱えている方もいるはずです。年末調整は、1年間の税金の過不足を精算する大切な手続きです。
ただし派遣には正社員とは異なるルールがあり、さらに令和7年分からは控除の引き上げといった制度改正も重なるため、押さえておきたい注意点がいくつかあります。
本記事では、派遣社員の年末調整の仕組みや受けられる条件、必要書類から、自分で確定申告が必要になるケースまでを、最新の制度をふまえてわかりやすく整理します。
目次
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1.派遣社員の年末調整とは?
この章では、年末調整の基本に加え、派遣社員が対象になる理由や手続きを行う担当者、確定申告との違いを整理します。
年末調整の基本
年末調整は、1年間に給与から差し引かれた所得税と、本来納めるべき税額との差を精算する手続きです。会社は毎月の給与から所得税を概算で天引きしているため、その時点では扶養の状況や保険料控除などが十分に反映されていません。
そこで年末に正しい税額を計算し、納めすぎていれば還付し、不足していれば追加で徴収します。給与所得者にとっては、勤務先が税金の精算を代わりに行ってくれる仕組みです。
派遣社員も年末調整の対象
派遣社員も、給与を受け取って働いている以上、年末調整の対象になります。対象になるかどうかは、正社員や派遣社員、パートといった雇用形態ではなく、給与所得者であるかどうかで決まります。
ただし年末調整を受けるには、原則として「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を派遣会社へ提出している必要があります。派遣会社からの案内はマイページやメール、給与明細、郵送などで届くため、年末が近づいたら見落とさないように確認しましょう。
年末調整を行うのは派遣先ではなく派遣会社
派遣社員の年末調整を行うのは、実際に働いている派遣先ではなく、雇用主である派遣会社です。給与を支払い、源泉徴収をしているのが派遣会社であり、年末調整は給与の支払者が行う手続きであるためです。
書類の提出先や還付金の支払いも、基本的には派遣会社を通じて行われます。複数の派遣先で働いた場合でも、雇用主である派遣会社が同じであれば、その派遣会社がまとめて手続きします。
年末調整と確定申告の違い
年末調整と確定申告は、どちらも1年間の所得税を精算する手続きです。ただし、年末調整は会社が給与所得者のために行うのに対し、確定申告は本人が税務署へ申告する点が異なります。
派遣社員は派遣会社の年末調整で精算が完了することが多く、通常は自分で確定申告をする必要はありません。一方で、副業収入がある場合や医療費控除を受けたい場合、年末調整を受けられなかった場合などは、確定申告が必要になることがあります。
項目 | 年末調整 | 確定申告 |
|---|---|---|
手続きする人 | 派遣会社などの給与支払者 | 本人 |
対象者 | 一定の給与所得者 | 個人事業主・一定の給与所得者など |
時期 | 主に年末 | 原則、翌年2月16日〜3月15日 |
主な目的 | 給与にかかる所得税の精算 | 1年間の所得全体の申告と精算 |
令和8年分以後の年末調整の変更点
2026年6月時点では、令和8年度税制改正による変更点も確認しておきましょう。この改正では、基礎控除の引き上げ、給与所得控除の最低保障額の引き上げ、扶養親族などの所得要件の見直しが行われました。
これらは原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。そのため、令和8年12月の年末調整から、控除額や扶養の判定に影響する可能性があります。
合計所得金額 | 令和8・9年分の基礎控除額 | 令和10年分以後の基礎控除額 |
|---|---|---|
132万円以下 | 104万円 | 99万円 |
132万円超336万円以下 | 104万円 | 62万円 |
336万円超489万円以下 | 104万円 | 62万円 |
489万円超655万円以下 | 67万円 | 62万円 |
655万円超2,350万円以下 | 62万円 | 62万円 |
2,350万円超2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 | 0円 |
(参照:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf)
2.派遣社員が年末調整を受けられる条件
この章では、派遣社員が年末調整を受けるために満たすべき条件と、反対に対象外となってしまうケースを整理します。
扶養控除等申告書を提出していること
年末調整を受けるには、年末調整を行う勤務先を示す「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を派遣会社へ提出している必要があります。
扶養家族がいない場合でも提出は必要で、複数の会社から給与を受けているときは、主たる給与を受ける1社にだけ提出できます。年末調整を受けたい派遣会社へ提出できているか、早めに確認しておきましょう。
年末時点で派遣会社に在籍していること
年末調整は原則として年末まで勤務している人が対象となるため、年末時点で派遣会社との雇用関係が続いているかどうかが重要です。年の途中で退職し、そのまま再就職しなかった場合は、派遣会社で年末調整を受けられないことがあります。
ただし、死亡退職や著しい心身障害による退職など、一定の場合には年の途中でも対象になります。契約終了が年末に近いときは、派遣会社へ確認しておきましょう。
対象となる給与を派遣会社が把握できること
年末調整では、その年に支払いが確定した給与をもとに税額を計算します。実際に支払われた給与だけでなく、未払いでもその年に支払いが確定した給与は対象になるため、「12月に給与が支払われないと年末調整を受けられない」とは限りません。
年末調整の対象者に該当し、派遣会社がその年の給与を正しく把握できることが重要です。対象から外れた場合でも、必要に応じて確定申告で精算できます。
前職の源泉徴収票を提出していること
その年に別の会社や派遣会社で働いていた場合は、前職の源泉徴収票を現在の派遣会社へ提出します。年末調整ではその年の給与を合算して税額を計算するため、前職分の給与や源泉徴収税額が必要であるためです。
源泉徴収票を提出した場合は前職分を含めて年末調整を受けられますが、手元にないときは前の勤務先へ再発行を依頼しましょう。提出できないと前職分を含めた年末調整ができず、自分で確定申告が必要になることがあります。
年末調整の対象外になるケース
これまでの条件を満たさない派遣社員は、年末調整の対象外になります。
ただし対象外になっても税金の精算が不要になるわけではなく、納めすぎた税金がある場合は確定申告で還付を受けられることがあります。
とくに年の途中で退職した人や、前職の源泉徴収票を提出できなかった人は、確定申告が必要かどうかを確認しておきましょう。
扶養控除等申告書を提出していない
その年の主たる給与の総額が2,000万円を超えている
災害減免法により所得税の徴収猶予や還付を受けている
年末まで勤務しておらず、年の途中で行う年末調整の対象にもならない
前職の源泉徴収票を提出できず、年間の給与を合算できない
3.派遣社員の年末調整の流れ
この章では、派遣会社から案内が届いてから、必要書類を記入して提出するまでの流れを順番に整理します。
①派遣会社から届く案内を確認する
年末調整は、派遣会社から届く案内を確認するところから始まります。通知方法は会社によって異なり、マイページやメール、給与明細、郵送のほか、最近はWeb上で入力して提出する形式も増えています。
案内には提出期限や提出方法、必要書類が示されているため、まず内容を確認します。複数の派遣会社に登録している場合は、どの会社で年末調整を受けるのかも整理しておきましょう。
②必要書類と提出期限を確認する
案内を確認したら、自分に必要な書類と提出期限を確かめます。必要書類は、扶養家族や保険加入、住宅ローン控除の有無などによって変わります。
提出期限を過ぎると派遣会社の年末調整に間に合わないことがあり、控除証明書や前職の源泉徴収票は準備に時間がかかる場合もあるため、早めにそろえておきましょう。期限は派遣会社ごとに異なるので、案内に示された日付を必ず確認します。
③年末調整書類を記入する
必要書類が分かったら、申告書に必要事項を記入します。
主な書類には、扶養控除等申告書や基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除申告書などがあります。
令和7年分からは、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、所得金額調整控除申告書が1つの様式にまとめられました。令和8年分以後は税制改正で様式が変わる予定のため、派遣会社から案内された最新の書類に従って記入しましょう。
④控除証明書や源泉徴収票を添付する
申告書には、控除を受けるための証明書類を添付します。
生命保険料控除や地震保険料控除、社会保険料控除、住宅ローン控除などは証明書の提出が必要で、前職がある人は前職の源泉徴収票も合わせて提出します。
証明書類は保険会社や金融機関、日本年金機構などから届くことが多いため、年末調整の時期までなくさないように保管しておきましょう。Web提出では、画像や電子データで提出できることもあります。
⑤期限内に派遣会社へ提出する
書類の記入と添付が終わったら、期限内に派遣会社へ提出します。
提出方法はWeb送信や郵送、メール添付など派遣会社によって異なり、期限を過ぎるとその年の年末調整に反映できないことがあるため注意が必要です。
提出後は、12月または翌年1月ごろの給与明細で還付や追加徴収の結果を確認できます。提出後に扶養親族などの内容が変わったときは、早めに派遣会社へ相談しましょう。
4.派遣社員の年末調整に必要な書類
この章では、派遣社員が年末調整で提出する主な書類と、それぞれがどのような役割を持つのかを整理します。
扶養控除等申告書
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、年末調整を受けるための基本となる書類です。本人情報のほか、扶養親族、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除などを記入し、扶養家族がいない場合でも提出が必要です。
令和8年分以後は扶養親族などの所得要件が見直されるため、家族の収入状況を確認したうえで記入しましょう。内容に誤りがあると、控除が正しく反映されないことがあります。
基礎控除申告書・配偶者控除等申告書
基礎控除申告書や配偶者控除等申告書は、本人や配偶者の所得に応じた控除を受けるための書類です。記入には、本人と配偶者それぞれの年間所得の見積額が必要で、配偶者がパートやアルバイトで働いている場合は、年収を確認したうえで所得を計算します。
令和8年分以後は基礎控除額や所得要件が見直されるため、最新の様式と案内に沿って記入しましょう。
保険料控除申告書
生命保険料や地震保険料、社会保険料などを支払っている人は、保険料控除申告書を提出します。保険料控除を申告すると課税対象となる所得を減らせるため、所得税が軽くなる場合があります。
対象となる主な控除は、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除です。申告書には控除証明書を見ながら契約内容や支払額を記入し、証明書は紙または電子データで発行されます。
前職の源泉徴収票
その年に転職や派遣会社の変更があった人は、前職の源泉徴収票を提出します。源泉徴収票には支払金額や源泉徴収税額、社会保険料の額などが書かれており、現在の派遣会社はこの情報をもとに前職分の給与を合算して年末調整を行います。
手元にないときは前の勤務先へ再発行を依頼し、提出できないと前職分を含めた年末調整ができず、自分で確定申告が必要になることがあります。
保険料や住宅ローンの控除証明書
保険料控除や住宅ローン控除を受けるには、申告書だけでなく控除証明書などの添付が必要です。証明書がないと、年末調整で控除を受けられないことがあります。
住宅ローン控除は1年目に確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で手続きできます。証明書類は年末調整の時期まで保管し、派遣会社の案内に従って提出しましょう。
生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書
5.派遣の年末調整の還付金と追加徴収
この章では、年末調整で還付金や追加徴収が生じる仕組みと、その金額や時期を確認する方法を整理します。
年末調整で還付金が発生する仕組み
年末調整で還付金が戻るのは、毎月の給与から差し引かれた所得税が、本来納めるべき税額より多かったためです。毎月の源泉徴収額は概算で計算されており、生命保険料控除や地震保険料控除、年の途中で変わった扶養の状況などは年末に反映されます。
その結果、正しい税額を計算したときに払いすぎがあると、差額が還付されます。還付金は臨時収入ではなく、納めすぎた税金が戻ってくるお金です。
還付金が戻る時期の目安
年末調整の還付金は、12月または翌年1月の給与に反映されるのが一般的です。派遣会社によって、12月支給分で精算する場合と翌年1月支給分で精算する場合があります。
確定申告の還付とは異なり、通常は税務署から直接振り込まれるのではなく、派遣会社を通じて給与口座へ支払われます。還付の時期や金額は、給与明細の「年末調整還付」などの欄や派遣会社の案内で確認しましょう。
給与明細と源泉徴収票で確認する
還付金や追加徴収の金額は、給与明細と源泉徴収票で確認できます。給与明細には年末調整を行った月の精算額がのることがあり、源泉徴収票には1年間の支払金額、給与所得控除後の金額、所得控除の合計額、源泉徴収税額などがまとめられます。
源泉徴収票は確定申告や収入証明にも使う大切な書類のため、交付されたら内容を確認し、なくさないように保管しておきましょう。
還付金がない・少ない理由
還付金がない、または少ない場合でも、計算が間違っているとは限りません。還付金は納めすぎた税金がある場合に戻るお金のため、毎月の源泉徴収額が少なかった人や、月々の徴収が実際の税額に近かった人は還付額も少なくなります。
源泉徴収税額が0円の場合は、原則として戻る税金もありません。ただし保険料控除や扶養控除の申告漏れがあると還付額に影響するため、提出した書類の内容は確認しておきましょう。
追加徴収になるケース
年末調整の結果、還付ではなく追加徴収になることもあり、これは毎月の源泉徴収額の合計が本来納めるべき税額より少なかった場合に起こります。
たとえば、年の途中で扶養家族が減った場合や、賞与や給与が想定より多かった場合、配偶者の所得が増えて配偶者控除の対象から外れた場合などです。
追加徴収は税額を正しく合わせるための精算のため、扶養や収入に変化があった年は、手取りが一時的に減る可能性も考えておきましょう。
6.派遣社員でも確定申告が必要なケース
この章では、派遣会社の年末調整だけでは精算が終わらず、派遣社員でも確定申告が必要になるケースを整理します。
派遣会社で年末調整を受けられない場合
年の途中で派遣会社を退職し、年末時点でどの会社にも再就職していない場合は、派遣会社で年末調整を受けられません。このときは給与から天引きされた所得税を納めすぎていることがあり、確定申告をすると還付を受けられる可能性があります。
申告には、退職した派遣会社から交付される源泉徴収票を使います。なお、同じ年に再就職した場合は、新しい勤務先で前職分を含めて年末調整できることがあります。
2社以上の派遣会社で働いた場合
年末調整ができるのは、扶養控除等申告書を提出した主たる給与の1社だけです。複数の派遣会社から同時に給与を受け取っている場合は、年末調整されない給与が出てくることがあります。
年末調整されなかった給与の収入金額と給与以外の所得の合計が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。一方で、働いた期間が重ならず、前の派遣会社の源泉徴収票を現在の派遣会社へ提出できる場合は、まとめて年末調整できることもあります。
副業やWワークの所得が20万円を超える場合
派遣の仕事に加えて副業をしている場合は、本業で年末調整を受けていても確定申告が必要になることがあります。業務委託やフリーランス報酬など、給与以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
副業がアルバイトなどの給与にあたる場合は、年末調整されなかった給与収入と給与以外の所得の合計で判断します。なお、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になることがあります。
医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合
医療費控除や、住宅ローン控除の初年度を受けたい場合は、確定申告が必要です。医療費控除は、本人や生計を一にする家族のために支払った医療費が一定額を超えると受けられます。
住宅ローン控除は住宅を購入・新築した最初の年に確定申告が必要で、給与所得者であれば2年目以降は年末調整で手続きできます。医療費の明細や住宅ローンの残高証明書などは、申告時期まで保管しておきましょう。
ふるさと納税の控除を受けたい場合
ふるさと納税をした人は、ワンストップ特例を使わない場合、確定申告で寄附金控除を受けます。ワンストップ特例は、寄附先が年間5自治体以内で、確定申告をしない給与所得者が使える制度です。
寄附先が6自治体以上になった人や、医療費控除などで確定申告をする人は、ふるさと納税分も申告書に記入します。確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になるため、寄附した全自治体分を忘れずに申告しましょう。
給与に交通費が含まれている場合
給与に交通費が含まれている場合でも、それだけで確定申告が必要になるわけではないです。通勤手当として給与と区別して支給され、非課税限度額の範囲内であれば非課税となります。
公共交通機関を利用する場合は合理的な運賃等の額が対象となり、非課税限度額は月15万円です。一方で、時給に交通費込みで支払われ、通勤手当として区別されていない場合は給与として課税されることがあるため、給与明細や雇用契約で扱いを確認しましょう。
7.派遣社員の確定申告の進め方
この章では、派遣社員が自分で確定申告を行う流れを、書類の準備から提出、申告忘れへの対応まで整理します。
①確定申告の期間を確認する
確定申告は、原則として所得が発生した年の翌年2月16日〜3月15日までに行い、3月15日が土日祝日にあたる場合は翌日が期限になります。一方で、納めすぎた税金を取り戻す還付申告は、翌年1月1日から5年間提出できます。
納税が必要な申告を期限後に行うと、無申告加算税や延滞税の対象になることがあります。まずは、自分の申告が納税のためか還付のためかを確認しましょう。
②確定申告に必要な書類を準備する
申告書を作成する前に、収入や控除を確認できる書類をそろえます。派遣社員の場合は、源泉徴収票や控除証明書などが必要です。
源泉徴収票の添付は原則不要ですが、支払金額や源泉徴収税額を入力するために使います。複数の勤務先がある場合は、すべての源泉徴収票をそろえましょう。
派遣会社などすべての勤務先の源泉徴収票
各種控除証明書
医療費控除を受ける場合は医療費控除の明細書
ふるさと納税の寄附金受領証明書など
マイナンバーカード、または番号確認書類と本人確認書類
還付金を受け取る本人名義の口座情報
③申告書を作成する
必要書類がそろったら、源泉徴収票や控除証明書の内容を入力して申告書を作成します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に沿って入力するだけで所得税額や還付額を自動で計算できます。
複数の源泉徴収票がある場合は、すべての給与を入力します。会計ソフトやスマホ申告を使う場合も、支払金額や源泉徴収税額、控除額に入力ミスがないか確認しましょう。
④e-Tax・スマホ・郵送・税務署から提出方法を選ぶ
作成した申告書は、自分に合った方法で税務署へ提出します。主な提出方法は、e-Tax、スマホ申告、郵送、税務署窓口の4つです。
それぞれ手続きの手間や必要なものが異なるため、次の表で自分に合う方法を確認しましょう。
提出方法 | 特徴 |
|---|---|
e-Tax(パソコン) | 自宅から提出できます。マイナンバーカード方式では、対応スマホやICカードリーダライタなどを使います |
スマホ申告 | マイナンバーカードと対応スマホがあれば、スマホで作成・送信できます |
郵送 | 作成した申告書を所轄税務署または業務センターへ郵送します |
税務署窓口 | 窓口で提出できますが、確定申告期間は混雑しやすくなります |
⑤還付金や納税額を確認する
申告書を提出したら、還付金の振込時期や納税額を確認します。還付申告の場合、e-Taxは3週間程度、書面提出は1か月〜1か月半程度が目安で、処理状況はe-Taxのマイページで確認できます。
納税がある場合は期限までに納付が必要で、振替納税やクレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付などから自分に合う方法を選びましょう。
⑥申告を忘れた場合は早めに対応する
確定申告を忘れていた場合は、できるだけ早く期限後申告を行います。納税が必要な申告を放置すると、無申告加算税や延滞税がかかることがあります。
一方で、還付のための申告であれば翌年1月1日から5年間提出できるため、期限を過ぎても放置せず、自分の申告が納税か還付かを確認しましょう。分からないときは、税務署や税理士に相談すると安心です。
8.派遣社員の年末調整でよくある質問
この章では、派遣社員が年末調整で迷いやすい点を、短期派遣や扶養、派遣会社の変更などケース別に整理します。
短期派遣や単発派遣でも年末調整は受けられますか?
短期派遣や単発派遣でも、契約が短いというだけで年末調整の対象外になるわけではありません。年末まで派遣会社に勤務し、扶養控除等申告書を提出している場合は、年末調整を受けられることがあります。
一方で、日雇いや短期契約で日額表の丙欄(へいらん)を使って源泉徴収される場合や、扶養控除等申告書を提出していない場合は対象外となります。対象外のときは、必要に応じて確定申告で精算しましょう。
扶養内で働く派遣社員は年末調整で何に注意すべきですか?
扶養内で働く派遣社員は、税金と社会保険の基準を分けて考えることが大切です。
給与収入だけの場合、本人に所得税がかからない年収の目安は令和7年分で160万円、令和8年分では税制改正により178万円に広がります。
一方で、配偶者控除や扶養控除、社会保険の加入基準は別の制度のため、税金の扶養と社会保険の扶養を混同しないよう、年収や勤務時間を確認しておきましょう。
派遣会社を途中で変えた場合は年末調整できますか?
年の途中で派遣会社を変えた場合でも、前の派遣会社の源泉徴収票を新しい派遣会社へ提出すると、まとめて年末調整を受けられることがあります。
これは年末調整でその年の給与を合算して税額を計算するためで、新しい派遣会社で年末まで勤務し、扶養控除等申告書を提出していることが前提です。源泉徴収票が手元にないときは前の派遣会社へ再発行を依頼し、間に合わない場合は確定申告で精算します。
源泉徴収票が届かない場合はどうすればよいですか?
源泉徴収票が届かない場合は、まず発行元の派遣会社へ連絡して交付を依頼します。
給与所得の源泉徴収票は、通常は翌年1月31日まで、年の途中で退職した人には退職後1か月以内に交付されます。依頼しても交付されないときは、税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます。確定申告や転職、収入証明で必要になることがあるため、届かないまま放置せず早めに対応しましょう。
年末調整書類を提出し忘れた場合はどうなりますか?
年末調整の書類を提出し忘れても、税金を精算する方法はあります。派遣会社が年末調整のやり直しに対応できる場合は、源泉徴収票の作成・交付前などに再提出できることがあります。
ただし派遣会社の処理期限を過ぎている場合は、自分で確定申告をして控除を反映しましょう。提出を忘れたままにすると受けられたはずの控除が反映されないため、気づいた時点で派遣会社へ相談することをおすすめします。
9.まとめ
派遣社員の年末調整は、多くの場合、派遣会社からの案内に沿って書類を提出するだけで完了し、納めすぎた税金は還付金として戻ります。まず確認したいのは、自分が年末調整だけで済むのか、それとも確定申告が必要なのかという点です。
年の途中で退職した場合や複数の派遣会社で働いた場合、副業の所得が20万円を超える場合、医療費控除やふるさと納税を受けたい場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
令和7年分以後は控除の引き上げで扶養や収入調整の基準も変わっているため、自分の状況を早めに見直しておくと安心です。
働き方が多様になるなかで、税金の手続きを正しく理解しておくことは、手取りを守り、安心して働き続けるための土台になります。まずは派遣会社の案内や源泉徴収票を手元にそろえ、控除の申告漏れがないかを確認することから始めてみましょう。
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